枝雀の「うなぎや」

枝雀の「うなぎや」
「おかしいなと思て、一徳さん徳さん、道頓堀で飲ましてくれるのと違うのんか一言
うたら、「いずれ道頓堀へは行くねけれども、萩の茶屋の弟んとこへちょっと用事が
あんの、今、ふっと思い出したんや。僕はそこへ先行こうと思うが、君はどうする一
とこう言うたのでね。私、そのときはね、おなかの中では多少はムカムカ、ムカムカ
ッとしましたよ。なんぽ一杯飲ましてくれるにして(口ごもりながら)もですよ、そ
ないにああた、なんー」
「ハキハキもの言え ハキハキ」
「いや、ハキハキ言ってるんですけどね、ちよっと虞が立っているとこの描写なんで」
「描写いらんわ、そんなもんお前」
「ムカムカしてくるんですよね。そやけどやで、ここで「そうかほんならお前行けよ、
俺はこれでもう帰るわ一言うたら、「そうか、ほなまあ道頓堀もまた今度にしよか一
と言われかねないこともないでしょ。それで、お腹ん中でよほどムカムカとしてい
たんですけど、顔ではにーこにーこしてね、「まあまあ用事があんねやったらそれ先
に済ましといたほうが、よほどそら気が楽になる?じ言うたら、「すーまないねえー
言うてね、どんどんどんどん南へ南へ行って、萩の茶屋へ一軒の家、ガラガラっと開
けたら、それこそ徳さんとうりニつ、どっちがどっちやわからんなって、入れ替わっ
てもわからんなっちゃよう似た顔。向こうは家系やね、皆よう顔似てるわね。それで
もうごじやごじゃごヒやごじや話して、一まぁそういうことで。すまなかったね一。か
ラガラピシヤって、いやー今日一日であっちこっちの用事がすべて済んじゃって、
ほんとに僕は助かったあ。ありがとうありがとう一言いながらぺーッと北へ北へ行て、
いよいよ堺筋、道頓堀、道頓堀のほう入りよってん」

 

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